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それっておかしくないか?(追記あり)

元ネタ:Excite エキサイト : 社会ニュース
<落語家・夢之助さん>「手話通訳気が散る」島根の敬老会で

島根県安来市民会館で9月17日に開かれた市主催の敬老会で、独演会をしていた落語家の三笑亭夢之助さんが、舞台に立つ手話通訳者に「気が散る」などと退場を求める発言をしていたことが分かった。通訳は舞台の下で続けられたが、同県ろうあ連盟は「聞こえない人に対する侮辱」と夢之助さんや市に抗議。夢之助さんは謝罪し、市も当日来場していた聴覚障害者3人に直接謝罪した。
……って、なんで落語家にクレーム入れてるんですかね? 「ろうあ連盟」ってところは。
呼ばれた落語家に罪はない(だれだって口がすべることはあるだろうし、高座に部外者がいること自体が彼にとってはイレギュラーなことだから、オロオロするのはアタリマエ)だろうし、責任の所在は主催者にあるわけだから、落語家が謝罪するのは「筋違い」でしかない。
そもそも、手話で落語を完全に通訳できると思っているあたりが甘すぎる。
落語家を「噺家(はなしか)」というように、話をすることが彼らの芸。
噺家の話というのは、声色を何種類も使い分け、声帯模写をくわえて、話の間をとり、話のテンポを細かく変えて客を楽しませる「話芸」です。
うどんとそばを手繰る時の差が、手話で表現できますか?
できるわけないんです。できないのが普通なんです。
で、それを考慮して、聾唖者の方に理解できるような内容のものを手話を交えて演じたとして、何人の観客が満足できますか?
「この落語家のレベルって低いよね」なんていわれて、噺家生命を縮める事態に陥るわけですよ。
それでも、演じなきゃいけないんですか?
それを強要する権利が、一体誰にあるんでしょうか?


追加記事:
落語家叩けりゃそれでoKですか?(追記あり)

関連記事:
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全体のためにレベルを下げて演じるよりも、自分の演じられる限りのレベルで演じるのが彼らの役目。
折角来ていただいたお客様に、最高の芸を見せるのが、彼らの仕事なんです。
だから高座には他の人間を立たせないのは当然の事で、そこに手話通訳を配置するなんていうのは、明らかに主催者の思慮が足りないから。
これは差別じゃなくて区別なんです。
その区別ができないのは、主催者の責任であって、落語家の責任ではない。
聾唖者に配慮するのであれば、聾唖者にも完全に理解できる出し物(パントマイムなど)にするべきで、そういった内容に対する配慮のなさも、主催者の落ち度ではないだろうか。

今回の事は、字幕のないハリウッド映画を上映して、一部の英語が理解できない人のために同時通訳の人にマイクを持たせて映画の音声と同じスピーカーから翻訳を流すようなもの。
これでは、どちらの側もマトモに映画を楽しめない。
それでも「配慮しました」といえば、それで主催者の責任はなくなるのか?
そんなはずはない。
まず、その映画館には客が来なくなるだろう。
それと同じことだ。

仮に落語家が手話を覚えて、高座に出て手話で落語を演じたとしても、手話ではない落語の芸との差は歴然としている。これは埋めようがない。
ただ、落語がわかっている人間が手話をする強みはあるだろうから、いくらかマシな手話ができるだろう。
しかし、今回の場合、通訳も主催者も落語の事を理解していない。
そんな状況で、手話で落語の楽しさを伝えるなんていうのは、思い上がりもいいところで、「手話通訳を立てれば落語も楽しめる」なんて思うあたりが、落語家に対する侮辱だ。
むしろ、主催者が落語家と聾唖者の方々に謝罪すべき話のはずなのに、落語家の方がつるし上げにあっているという現状が、とても奇妙に思える。

落語家を批難する前に、自分が落語をどれくらい理解しているかを把握するべき。
だいたい創作落語でもない限り、ネットで検索すれば原点が当たれるわけだし、古典落語なら書籍も充実しているだろう。
目で楽しむだけなら、落語なんて聞きにいかなくてもいいわけで。
それでも話を聞きに来るのは、噺家の芸をたのしみにくるわけですよ。
それが伝わらないのに、どうして芸が楽しめるのだろうか?
落語の事をほとんど知らない僕でさえ、これくらいの事は想像できる。
にもかかわらず落語家だけをバッシングしている人って、落語の何を知っているのだろう?

不思議で仕方がないね……。

追記:
一応、まとめページ作りました。
あまりニュースで報じられてない話(実はもう一人落語家がいたこと)など、いろいろと書きましたので、この件に興味のある方は、読んでいただければと思います。
調べていくにつれて、三笑亭夢之助というひとが、完全に被害者だったと思いました。
じゃあ、一体誰が一番悪かったのか……?
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by bowworks | 2007-10-31 23:41 | ニュース
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